G-NSJTRMHH78 給気温度制御とは?制御内容、メリットやデメリット、選定方法を紹介|計装マスター
空調制御

給気温度制御とは?制御内容、メリットやデメリット、選定方法を紹介

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この記事でわかること
  • 給気温度制御の仕組み
  • 給気温度制御のメリット、デメリット
  • 給気温度制御の選定方法

給気温度制御とは、空調機からの給気温度を設定値に保つ制御のこと

給気温度制御の空調機には、必ず給気ダクトに温度センサーが付いています。

給気温度センサーで計測した給気温度が設定値となるように、冷水コイルと温水コイルのバルブモータ(MV)の開度を制御し、給気温度を一定に保ちます。

メリットは省エネ、安定性。デメリットは室内環境がわからない。

メリットは省エネと安定性

給気温度制御の空調機では、給気のすぐ近くに温度センサーが付いています。
そのため、冷温水コイルで温度変化した空気が、そのまま何の影響を受けずに温度センサーで計測されます。
結果、設定値にぴったり追従するバルブ開度になり、省エネかつ安定した制御が可能になります。

例えば、室内(還気)設定値が25℃、室内(還気)計測値が30℃の夏季だった場合、室内(還気)温度制御では、実際に25℃の給気を送るかというと、そうではありません。
給気がダクト内や室内の空気と混ざり合うため、空気が設定値になるまで時間がかかり、設定値よりも過剰に冷えた空気を送るからです。
これは冷温水コイルのバルブ開度制御にPID制御を用いているためです。

デメリットは室内環境がわからない

当たり前ですが、給気温度を計測しているため、室内が暑いのか、寒いのかという情報がありません。

「設定温度の空気を送っていれば、いずれ室内も設定温度の空気になるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
しかし実際はそうではありません。温度調節したい室内には様々な空調負荷があります。
日光、人の出入り、PCなどの電気機器や人間は空調負荷を発生させ、適切な温度制御を妨げる要因となります。

例えば、夏季、日光により室内の温度が上昇しているとします。
その状態で給気温度が一定の空気を送ったところで、室内の温度は、室内の温度上昇によって、常に給気温度を満たさない(給気温度よりも高い)温度になってしまいます。

給気温度制御の目的は外気負荷の削減

上記の通り、給気温度制御にはメリットとデメリットがあります。
これらを考慮して給気温度制御は外気導入を目的とした外調機でよく用いられます。
外調機で外気をある程度整え、それからパッケージエアコンや空調機で室内温度制御を用いて、室内環境に適した空気を送り込む、といった制御が一般的です。

また、室内が大空間で還気温度が反映されるのに時間がかかり、室内温度センサーを取り付ける場所がない場合も給気温度制御が用いられることがあります。
大空間は空気量が多く、なかなか空調が効きません。
その上、不適切な場所に室内温度センサーを取り付けてしまうと、いつまでも設定値を満たさない、という状況になり、適切な温度制御ができなくなってしまいます。

さらに給気の先にVAVによる風量制御など、別の機器で室内温度を制御する場合も、室内(還気)温度制御ができないため、給気温度制御を用います。

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計装マスター
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計装エンジニア
空調計装メーカーに勤務しているエンジニア。 ニッチな業界かつ専門性の高さにより、ネット上にもほとんど知りたい情報がない、といった体験から、計装について知りたい人に向けて本ブログをはじめました。
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