モーメンタリ、ラッチとは? 使い方、メリットやデメリットを紹介

- モーメンタリ、ラッチの特性
- モーメンタリ、ラッチのメリット、デメリット
- モーメンタリと自己保持回路を組み合わせるメリット
デジタル信号は、ON/OFFの2つの状態で、機器を制御することができます。何か機器をデジタル信号で動かしたい場合、このON/OFFの出力でしか動かすことができません。
今回の記事では、デジタル信号の出力方法、モーメンタリとラッチについて紹介していきます。同じデジタル信号のON/OFF出力でも、モーメンタリとラッチの動作やその特性について理解していないと、機器がうまく動作しなかったり、不具合が生じたりしてしまいます。これらを理解し、適切に使えることが大切です。
モーメンタリの特徴、メリットやデメリット
モーメンタリは、下図のように、ON信号が入力されている間だけ、ONを出力するものです。例として、クレーンゲームのレバーや、テレビのリモコンなどが挙げられます。

メリットは安全性、省電力です。ONを入力している間しか動作せず、OFF入力と同時にOFFを出力するため、任意のタイミングでしか作動しません。そのため誤って長時間動作してしまうことを防ぎ、無駄な電力消費を抑えやすいです。
デメリットは、連続運転に適さないことです。ONを入力し続けないといけないため、長時間動作する必要がある機器では不便です。
しかし、実際には、モーメンタリは連続運転が必要な機器に、多く用いられています。これは、モーメンタリと自己保持回路を組み合わせることで、モーメンタリのメリットを生かし、デメリットをなくした使い方をしています。詳細は、この記事の後半で説明しています。
ラッチの特徴、メリットやデメリット
ラッチは、下図のように、ON信号が入力されると、ONを出力し続けます。そして、再度ONが入力されると、OFFを出力します。

メリットは、連続運転に適している、省電力です。一度ONを入力すると、その状態が外部の入力なしに保持されるため、連続運転が求められる多くの用途に適しています。また、外部の入力なしに状態が保持されるということは、その分省電力になります。
デメリットは、ノイズによる誤動作、停電復帰時に始動する可能性です。端子の接触不良や電圧の変動などが原因で、意図しないタイミングで、ラッチがセット、リセットされるリスクがあります。また、ラッチがON状態で、停電が起きた場合、運転していた機器は、復電時に停電前の状態を再現しようとするため、急に始動してしまう危険性があります。
モーメンタリと自己保持回路を組み合わせた発停回路
上記より、モーメンタリ動作とラッチ動作には、それぞれメリットとデメリットがあることが、わかると思います。ここで、モーメンタリの出力を自己保持回路で受け取ることで、ラッチ動作を再現することができます。なぜこのようなことをするのか、メリットは以下の通りです。
- モーメンタリ動作で、連続運転が容易になる。
- ラッチ動作のデメリット(ノイズによる誤動作、停電復帰時に始動する可能性)をなくし、安定した制御が可能になる。
モーメンタリと自己保持回路の組み合わせは、もし急に発停がかかったら危ない機器に、よく使われています。例えば、空調機のファンは、DDCからモーメンタリの発停信号を出力し、動力盤の自己保持回路で受け取ることで、発停しています。
このように、メリットとデメリットを明確にし、状況に応じて、モーメンタリ動作とラッチ動作を使い分けることが、大切です。