ウォーミングアップ制御とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説!

- ウォーミングアップ制御の基本機能
- ウォーミングアップ制御のメリット・デメリット
- ウォーミングアップ制御の導入事例
皆さんがオフィスビルや商業施設に出勤した時には、早朝にもかかわらず、当たり前のように空調がされている空間で、すぐに仕事に取り組むことができると思います。
「事前に運転スケジュールを作成して、スケジュール通りに空調をしているだけでは?」と思うかもしれません。
実はそれは、ただの空調ではなく、ウォーミングアップ制御によって省エネを考えた制御がされているのです。
ウォーミングアップ制御は、オフィスビルや商業施設など、ほとんどの施設で実際に取り入れられており、設備やシステムの安定稼働や省エネルギー化を実現するために重要な役割を果たしています。
この記事では、ウォーミングアップ制御の特徴、導入による具体的なメリットとデメリットについて詳しく解説します。
ウォーミングアップ制御とは?基本概念と重要性
ウォーミングアップ制御とは、空調機の稼働開始時に外気負荷を取り除くことで、効率的に運用を開始するための制御手法です。
この制御により、無駄なエネルギー消費を抑えるだけでなく、機器の劣化を防ぎ、安定した稼働を実現します。
ウォーミングアップ制御は、主にオフィスビルや学校など、利用者が不在かつ、これから空調機が稼働する必要がある(利用者が入ってくる)場合に用いられおり、ほとんどの空調機に搭載されている制御です。
利用者が滞在している場合、新鮮な外気を取り入れなければ、CO2濃度の上昇など、利用者が不快に感じる可能性があります。
そのため、利用者不在時間に外気取入を禁止し、建物内だけの空気で快適な空気をつくることで省エネを図ります。
つまりウォーミングアップ制御とは、「利用者が来る前に、事前に建物内の温度調節をして、省エネにつなげよう」という制御です。

ウォーミングアップ制御が可能な条件
同じ空調機でも、ウォーミングアップ制御が可能な空調機と、不可能な空調機があります。
ウォーミングアップ制御が可能な条件は以下の通りです。
- 還気がある
- 外気・排気・還気ダンパがある
- 給気・還気・室内温度センサーの内、いずれか1つ以上ある
- 人が室内に不在の時間帯がある(早朝など)
ウォーミングアップ制御の基本機能
ではウォーミングアップ制御とは、具体的にどのような制御をするのかを説明します。
外気・排気ダンパ全閉、還気ダンパ全開
外気・排気ダンパを全閉することで、外気負荷がなくなります。
空調機は室内負荷のみを処理すればよいため、その分省エネになります。
特に外気負荷が大きい夏期や冬期に、その効果が顕著に表れます。
MV(モータバルブ)は通常の温度制御
MVは空調機通常運転時と同様に、温度センサーからの計測信号で動作します。
計測値が設定値と一定になるように、バルブ開度を制御します。
加湿禁止
ウォーミングアップ制御中は、空調機内や室内の結露防止のため、加湿制御を禁止します。

ウォーミングアップ制御のメリット・デメリット
メリット
省エネ
通常運転と異なり、外気負荷を取り除いた状態で室内の空調をするため、省エネになります。
利用者満足度の向上
入室するときには、既に空調の効いた室内になっているため、利用者が快適に過ごすことができます。
デメリット
設備費用がかかる
還気・排気・外気のダンパとダクトがそれぞれ必要なため、その分設備費用がかかります。
建物によっては省エネ効果を得られない場合がある
空調機→室内→空調機・・と空気を循環させて、空調を行いますが、気密性の低い室内の場合、空調した空気が外に逃げていってしまいますので、十分な省エネ効果を得ることができません。
まとめ
ウォーミングアップ制御の機能や、メリット・デメリット、導入事例について解説しました。
一見単純な制御ですが、その分導入ハードルも低く、幅広く導入されているのがウォーミングアップ制御の特徴です。
空調制御を検討する際は、制御の正確性と同時に、どれだけ効率的に省エネを実行できるのかを常に考えることが大切です。