BACnetとは?

- BACnetの概要
- BACnet/IPとMS/TPの特徴
- B-OWS、B-BCの違い
BACnetとは、建物自動化システムにおける通信の標準プロトコル
BACnet(Building Automation and Control Network Protocol)は、1995年に、ASHRAE(米国冷暖房空調工業会)によって制定された、建物自動化システムにおける通信の標準プロトコルです。異なるメーカーの機器の連携が可能で、システムの拡張性や柔軟性、効率性を向上させる役割を果たしています。建物管理システムの基盤技術として、世界中で広く採用されている、通信プロトコルです。
BACnetは複数の通信媒体上で動作するように設計されています。代表的なものは、IPとMS/TPです。
IP (Internet Protocol)
BACnet IPは、Ethernet上で動作する通信方式です。特徴としては以下の点が挙げられます。
- 高速かつ大容量のネットワーク
- ITインフラと簡単につながることができる
- NAT(アドレス変換)に非対応
- NAT(Network Address Translation)非対応プロトコルは、IPアドレスが外部に露出してしまう可能性がある
- ブロードキャスト一斉送信主体の仕様
- 外部からの攻撃が全体に広がり、被害が拡大しやすい
Ethernetを活用するメリットが、そのままBACnet IPのメリットにもなっています。しかし、NAT非対応かつブロードキャスト通信仕様のプロトコルである、という特徴が、セキュリティ対策の妨げになっています。
対策として、ネットワークをVLANで分離、外部からのアクセスにはVPNを用いる、などがあります。
MS/TP (Master-Slave/Token-Passing)
MS/TPは、物理層RS-485上で動作する通信方式です。特徴としては以下の点が挙げられます。
- RS-485を用いるため、シンプル、低コスト、ノイズに強い
- 複数のデバイスを接続可能
- 高いリアルタイム性
上記特徴のため、BACnetは上位をIP、下位をMS/TPと、それぞれ組み合わせて使用することがほとんどです。
B-OWS、B-BCとは?
B-OWS(BACnet Operator Workstation ≒ HIM)とは、BACnetの建物全体のシステム状態を一元的に管理、監視するための、中央監視装置です。BACnetシステムの上位側のことを指します。日本固有の呼び方に「HIM」があります。
B-BC(BACnet Building Controller ≒ ICONT)とは、ローカル側での制御、監視を自立的に実行するコントローラーのことです。BACnetシステムの下位側のことを指します。日本固有の呼び方に「ICONT」があります。