室内温度制御の特徴とは？メリットや注意点を解説！

室内温度制御とは、室内温度を設定値に保つように調整する制御方法のこと

室内温度制御は、室内温度をセンサーで監視し、必要に応じて温度調節を行う仕組みです。

まず、室内温度センサーが室内温度を測定し、その情報をDDCに送信します。DDCは、中央監視装置などで設定された室内温度設定値と計測値を比較し、MV(モータバルブ)を制御することで、快適な室内環境を維持します。

また、下図の空気の流れからわかるように、室内温度と還気温度はほとんど等しいため、室内温度制御＝還気温度制御とみなされている場合がほとんどです。(ただし、室内が大空間や個室に分かれている場合は、別途検討が必要になります。)

室内温度制御のメリットとデメリット

メリット

室内温度制御のメリットは、省エネルギー効果が高いことです。適切に管理された室内温度の空気は、還気ダクトを通って再度、空調機から室内へと循環するため、余分な電力消費を抑えることができます。

また、室内の快適性も向上します。過度な冷暖房を抑えることで、室内温度を一定に保つように制御するため、オフィスや美術館などの利用者にとって過ごしやすい空間を提供することができます。

デメリット

室内温度制御のデメリットは、ハンチングが発生して、制御が不安定になる可能性があるということです。これは、室内温度を計測しているため、室内が設定値通りの空気になるまで時間がかかることが原因です。

例えば、夏に室内を冷やしたいとします。そのために空調機の冷水バルブが開き、涼しい空気が室内に送られます。ところが、実際に室内の温度が下がり、その変化が温度センサーに反映されるまでには時間がかかります。その結果、すでに十分な冷気が送られているにもかかわらず、温度センサーが「設定温度に達した」と認識する頃には、さらに冷気が送られ続けてしまい、室内が必要以上に冷えてしまうのです。この結果、冷水バルブが開く、閉じるを繰り返し、ハンチングが発生してしまう可能性があります。

対策として、PID制御の感度を下げる(積分時間を長く、微分時間を短く)、手動弁でコイルに流れる水量を少なくする、などがあります。どちらにせよ、実際に現地で空調機を動かして調整するほかありません。

導入時の注意点

室内温度制御を適切に行うことができるかどうかは、室内温度センサーの取り付け位置が非常に重要です。他が完璧でも、センサーの取り付け位置が適切ではないと、正しい制御は不可能です。注意点としては以下の通りです。

• カーテンの裏側にならないか
• 照明が至近距離で当たる場所ではないか
• 部屋を仕切って運用することはないか
• 取り付け位置が高すぎ、低すぎることはないか

これらは適切な室内温度計測を妨げる要因となるので、室内温度センサーを取り付ける際には注意してください。

一方、還気温度制御は、温度センサーを取り付ける位置が還気ダクトなので、取付位置や配線が比較的簡単です。しかし複数の部屋を空調している場合、それぞれの部屋の混合空気が還気として流れてきます。したがって、使っている部屋の空調が効きすぎてしまう、ということがあるため、注意が必要です。

計装マスター

計装エンジニア

空調計装メーカーに勤務しているエンジニア。 ニッチな業界かつ専門性の高さにより、ネット上にもほとんど知りたい情報がない、といった体験から、計装について知りたい人に向けて本ブログをはじめました。